『歴史群像』は、学研プラスが発行する日本の歴史、軍事に関する隔月刊の専門雑誌である、とウィキペディアにある。創刊は1992年6月という。
私の手元に1989年9月発行の『歴史群像 特別編集』がある。
創刊前の本である。なぜだろう?
謎はすぐに解けた。
ウィキペディアのつづきに、『歴史群像』誌の歴史がある。
雑誌のルーツは1987年に単発の歴史ムックとして出版された『織田信長』である。
これが成功を収めたため、不定期刊行で歴史物を出版することになり、それが後に、『歴史群像』になる。
出版社は学習研究社である。
不定期刊行時期には、戦国時代を多く取り扱ったという。
古代史はめずらしいということである。
そのめずらしい時代を取りあげた特別編集号に安本作品がある。
なんとも貴重なめずらしさである。
『歴史群像』特別編集 「最新邪馬台国論 〔甦る女王国と吉野ヶ里遺跡〕」(1989.9・学習研究社)に安本作品がある。産業大学教授 安本美典 【記紀神話と倭人の世界】邪馬台国の舞台と神武東遷の真偽
掲載文の小見出しをみると10条ある。
・白鳥庫吉の説、・和辻哲郎の説、・栗山周一の説、
邪馬台国の舞台と神武東遷に関する先人の説の紹介である。・「邪馬台国東遷説」の年代論、・記紀神話の舞台、
・現在も流れている「安川」・「香山」も存在している、
・九州と近畿との地名の一致、・吉野ヶ里は、「華奴蘇奴国」の地、
記紀にある天皇在位年数による年代論と、記載地名の統計による場所の推定である。・神話に史実の核をさぐる
安本氏の論証の結論である。
これらを見るだけで、大筋の内容がわかる。安本理論の根幹である。貴重な論文である。
挿図:『歴史群像 特別編集 最新邪馬台国論』に掲載の安本論文の最初のページ。
図中の人物は白鳥庫吉(上)・栗山周一(下)である。
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