館長だより 第99号
館長だより 第99号

館長の見聞録(43)

2017/07/02

   ☆ 馬見古墳群探訪 その1

 奈良の馬見古墳群を見に行ってきた。

 馬見古墳群は百舌鳥古墳群や大和古墳群ほど知名度は高くないが、大古墳群である。

 奈良盆地の西南部に広がる馬見丘陵とその周辺に古墳が築かれていてる。

 北群、中央群、南群の3群からなり、広範囲にいろいろな型式の古墳が分布する。

 そのうち、中央群が馬見丘陵公園として整備され、パンフレットには10基の古墳が記載されている。(写真1)

 公園へは、近鉄田原本線の池部駅から緑道を歩き、北側より入る。

 最初に訪れたのが、国指定史跡の乙女山古墳である。(写真2・3)

 全長約130mの帆立貝式古墳で、帆立貝式では国内最大規模という。

 墳丘には家型埴輪や円筒埴輪が並び、葺石もある。

 5世紀前半の築造という。

 古墳は楯形の周濠に囲まれ、墳丘には木が鬱蒼としていて、形はよくわからなかった。

 つぎは、古墳の資料がある公園館に行く。

 ここには、馬見古墳群についての模型や写真、解説パネルがある。

 わずかではあるが、出土品も展示されている。

 映像では、ナガレ山古墳の復元作業が見られる。

 復原には重機が盛んに利用され、結構大胆に造られているのには驚いた。

 二階に展望用のベランダがあり、目の前に別所下古墳がある。(写真4)

 4世紀後半に築造の大型円墳という。

 直径60m、高さ6mである。

 別所下古墳の横を通って、ナガレ山古墳へ向う。

 ナガレ山古墳は復元され、墳丘に登れる。公園内で一押しの古墳である。(写真5)

 古墳全体は整備され、その東側、縦半分を築造当時の状態に復原している。

 古墳は昭和51年(1976)に国史跡の指定を受け、その記念に平成9年(1997)整備復原のとき石碑を造っている。(写真6)

 埋葬施設のあった前方部と後円部の頂部をのぞいて、墳丘全体に葺石が施されている。

 前方部に二段、後円部は三段の段が築かれ、その端にぐるりと円筒埴輪、朝顔形埴輪が並んでいる。

 飾られている埴輪の一部は地元河合町民の手作りで、製作者の名前が書かれているという。

 いくつかの埴輪で名前を探したがわからなかった。ちょうっと残念。

 前方部の墳丘上に竪穴式の粘土槨があり、箱形木棺が確認されている。(写真7)

 盗掘されているが、出土遺物には石製模造品、石製玉類、鉄製品などがある。(写真8)

 古墳の全長は105m、後円部高さ約9m、5世紀前半の築造という。

 後円部頂上からの眺めは最高!

 公園内の古墳がよく見える。

 左から乙女山古墳、別所下古墳、右へ移って一本松古墳、倉塚古墳も見える。

 少し離れた島の山古墳、赤土山古墳も見える。

 晴れていれば、遠くに箸墓古墳がわかり、その奥に三輪山が望めると遠景写真がある。

 ナガレ山古墳を充分堪能して、公園の南辺地区へ行く。

 公園を横断する県道を越えて、すぐにタダオシ古墳がある。(写真9)

 全長50mの前方後円墳で、6世紀代築造という。

 周濠の一部か?タダオシ池がある。

 すぐ隣に三吉2号墳がある。(写真10)

 全長93mの帆立貝式古墳で、5世紀後半の築造という。

 前面草に覆われ、墳丘への道が整備されている。

 墳丘の傾斜はゆるやかで、いろいろな造られ方があることがよくわかる。

 円筒埴輪が出土している。

           (つづく)


  写真 1:馬見丘陵公園を南側から望む。右手前は巣山古墳(「馬見丘陵公園の古墳」パンフレットより)

  写真 2:乙女山古墳の説明板(館長撮影)

  写真 3:乙女山古墳(南側より)(館長撮影)

  写真 4:別所下古墳(北西側・公園館2Fより)(館長撮影)

  写真 5:ナガレ山古墳(西側より)(館長撮影)

  写真 6:ナガレ山古墳の石碑(館長撮影)

  写真 7:ナガレ山古墳の前方部の埋葬施設(説明板より)

  写真 8:ナガレ山古墳の出土品(説明板より)

  写真 9:タダオシ古墳(南側より)(館長撮影)

  写真 10:三吉2号墳(北側より)(館長撮影)


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