今までで、5基の古墳を見てきたがまだまだ、古墳がある。公園区域外ではあるが、三吉2号墳の東側に国指定特別史跡の巣山古墳がある。
巣山古墳は、馬見古墳群最大の前方後円古墳で、全長204m、後円部の高さ25mを測る。
古墳の左右のくびれ部に作り出しがあり、全体をめぐる楯形の周濠がある。
埋葬施設は、後円部中央より割石を積み上げた竪穴石室が主軸に並行して2基ある。
前方部にも石室確認されている。
後円部は盗掘されているが、副葬品は、勾玉、管玉、棗玉などの玉類や鍬形石、車輪石、石釧の石製品などがある。
前方部辺の周濠の外側に高まりがあり、円筒埴輪列や船形埴輪が出土している。
巣山古墳は、古墳群中最大の規模を誇り、葛城の首長墓と考えられているという。
築造は、遺物から4世紀終り頃と考えられている。
巣山古墳の前方部北西コーナーに隣接して佐味田狐塚古墳がある。
古墳時代前期(5世紀前半)に造られた全長78mの帆立貝式古墳である。
後円部には周濠が確認されている。
墓壙は盗掘されているが、銅鏡片、刀子などが見つかっている。
この古墳は残念ながら、公園を横断する自動車道に中央部が切断破壊されている。
現状も樹木が生い茂り、様子がほとんどわからない。
説明板の実測図より想像するほかはない。
自動車道にかかる横断歩道橋をわたり、公園中央部へもどる。
歩道橋の階段を下りたところに休憩所がある。
この中央に木枠で囲まれた石棺がある。
説明板によると、香芝市にある北今市2号墳という方墳の石棺である。
二上山でとれた凝灰岩で作られている家形石棺である。
棺の内側の大きさは、長さ163cm、幅48cm、高さ37cmである。
なぜか、蓋石の一枚が他と形が違っている。
どこからか、拝借してきたのであろうか。
作り間違いとは考えられないが、不思議だ。
石棺の内部からは、埋葬時の状態で熟年男性と4、5歳児の人骨が発見されている。
埋葬品は、滑石製小玉、鉄刀、鉄鏃がでている。
埋葬の時期は7世紀前半と考えられている。
木枠のベンチには、先客が休憩していた。
写真を撮ってから、私も腰掛けてちょっと休憩した。
ただよく考えると、白骨化した死体が入っていたお棺の横のベンチなので、休憩所には適材とは思えなかった。
石棺が間近に見られるのはありがたいが、これで、文化財管理は充分なのだろうか。
つづく
写真11:巣山古墳 西側から望む(館長撮影)写真12:巣山古墳の造り出し(西側)(館長撮影)
写真13:巣山古墳前方部周濠外の古墳状高まり(説明板内の写真より)
写真14:巣山古墳の古墳状高まりより出土の埴輪列(レプリカ)(館長撮影)
写真15:佐味田狐塚古墳の説明板(館長撮影)
写真16:北今市2号墳出土の家形石棺(館長撮影)
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