館長だより 第106号
館長だより 第106号

館長の見聞録(45)

2017/09/17

   ☆ 馬見古墳群探訪 その3

 公園の中央部に戻ると、すぐ古墳がある。

 倉塚古墳である。

 全長180mの前方後円墳で、周囲から円筒埴輪が見つかっている。

 埴輪の特徴から、古墳の築造は5世紀前半と考えられている。

 古墳は丘状の小高い場所の上に築かれているようである。

 北側が後円部で、南側が前方部らしい。

 未調査なので、墳丘頂上に登ったが、いまいち墳形の状態を把握できなかった。

 倉塚古墳の北東に一本松古墳がある。

 こちらは整備されていて、下から前方後円墳の形がよくわかる。

 全長130mで、4世紀後半の築造という。

 後円部直径は約80mで、高さは12mを測る。

 そばに立つと傾斜がきつく、全面芝生に覆われているのですべりやすく、登るのに苦労した。

 発掘調査で、周濠と外堤の一部が確認されている。

 幅7.5mの外堤から埴輪棺墓と土坑墓が検出されている。

 棺の埴輪より古墳の時期が推定されている。

 一帯は古代の大豪族・葛城氏の墓域とされている。

 外堤の円筒埴輪棺の被葬者は、葛城氏につかえた家臣と考えられるという。

 公園区域外ではあるが、一本松古墳の東側に文代山(ぶんじろやま)古墳がある。

 一辺48mの大型方墳で、5世紀後半の築造という。

 墳丘は2段築成で、葺石があったという。

 範囲確認調査で、南辺に造り出しが確認されている。

 ここから犬形・馬形の動物埴輪が出土している。

 現在は、森に囲まれていて、様子がよくわからない。

 公園内には、まだ見てない古墳があるが、ひとまずこれで今回の古墳めぐりは終る。

 この地には、公園外も含めていろいろな形の古墳がある。

 前方後円墳はもちろん、帆立貝式古墳、円墳、方墳がある。

 少しはなれたところには、前方後方墳もある。

 まさに古墳の勢揃いである。

 帰りは、寺戸北へ出て、高田川を渡り、箸尾駅から電車に乗り近鉄奈良駅へもどった。

         終り


  写真17:倉塚古墳の後円部頂より前方部?方向を望む(館長撮影)

  写真18:倉塚古墳の説明板(説明板内の写真より)

  写真19:一本松古墳の後円部(右)から前方部(左)の一部。(館長撮影)

  写真20:一本松古墳の説明板(説明板内の写真より)

  写真21:文代山古墳のパネル(公園館内の説明パネルより作成)
       パネル内写真 左上上空からの写真、左下造り出し、
       右上は実測図、右中は馬形埴輪、右下犬形埴輪


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