館長だより 第122号
館長だより 第122号

安本作品 あれこれ(24)

2018/09/02

   ☆探索記 月刊『言語』の安本作品群・承前

 県立図書館から戻って、さっそく月刊『言語』探しの続きを開始した。

 こんどの調査地域は東京都である。

 23区立図書館から都立図書館を探す。

 合本1巻、2巻…所蔵とある館が、いくつかあったが、詳細は不明である。

 出かけて行って、ありませんでは目も当てられない。

 いろいろ調べた結果、都立中央図書館にあることがわかった。

 数日後、邪馬台国の会主催の上野の東京国立博物館見学会が予定されていた。

 特別展「縄文ー1万年の美の鼓動」である。

 幸いにも、集合時間が2時である。

 それまでに、港区広尾の都立中央図書館に行ってこよう。

 館に着いたら、真っ直ぐに総合カウンターヘ行く。

 今度は、掲載号が分かっているので、メモを見せて、所蔵の確認を取る。

 続いて、用紙に記入して書庫からの持ち出しを申し込む。

 数分後、書庫から届いた月刊『言語』を受け取る。

 無駄な時間があってはならない。

 今度は、安本論文を確認して、しおりを挟み、コピーカウンター持っていく。

 ここでは、館の人が、申込用紙に従ってコピーをする。

 1枚の料金は25円である。

 前回の県立図書館では、自分でコピーして1枚10円である。

 もう少し、何とかならないものだろうか

 14,5分かかったであろうか、でき上がった。

 『言語』掲載の安本論文、第1号をさっそく見る。

 1976年9月号の「タテとヨコの機能と効率」である。

 読んでいる暇はないが、コピーの枚数、状態を確かめる。

 きれいにコピーされている。さすがである。

 他の分も念のため、申込用紙と照らし合わせながら確認する。

 なんと、3枚分漏れている。

 再び、コピーカウンターに行き、漏れてる分を話してコピーを頼む。

 ああそうですか、わかりました。それだけである。

 (えっ、手落ちはそちらじゃないですか。申込用紙にはちゃんと書いてあるのに。)

 がっかりである。

 追加コピーを受け取り、館を後にする。

 確認しなかったら、またここまで来なければならないところだった。

 達成感も半減である。

 県立西部図書館とは雲泥の差だ。

 いずれにしても、月刊『言語』における安本作品の探索は完了である。

 今後も、このようにうまくいって欲しいものである。


 以下に、親切な県立西部図書館でコピーしてもらった資料を基に月刊『言語』にある安本論文一覧を掲載する。


 1976.9月号  タテトヨコの機能と効率
 1976.12月号 〔ことばの書架〕 T.ウィノグラード著、淵一博・他/訳『言語理解の構造』 産業図書(安本・書評)
 1977.1月号  日本語の起源を追って 一 探求の基礎 安本美典・本多正久/共著
 1977.2月号  日本語の起源を追って 二 カイ自乗検定 安本美典・本多正久/共著
 1977.3月号  日本語の起源を追って 三 シフト検索法(1)安本美典・本多正久/共著
 1977.4月号  日本語の起源を追って 四 シフト検索法(2)安本美典・本多正久/共著
 1977.5月号  日本語の起源を追って 五 ウラル・アルタイ諸言語その他と日本語(1)安本美典・本多正久/共著
 1977.6月号  日本語の起源を追って 六 ウラル・アルタイ諸言語その他と日本語(2)安本美典・本多正久/共著
 1977.7月号  日本語の起源を追って 七 ポリネシア諸語と日本語 安本美典・本多正久/共著
 1977.8月号  日本語の起源を追って 八 インドネシア諸語・カンボジア語と日本語 安本美典・本多正久/共著
 1977.9月号  日本語の起源を追って 九 モン・クメール諸言語、チベット・ビルマ諸言語と日本語 安本美典・本多正久/共著
 1977.9月号  〔ことばの書架〕 黒崎久著『日本語起源論』牧野出版(安本・書評)
 1977.10月号 日本語の起源を追って 十 日本語の起源について一応の仮説 安本美典・本多正久/共著
 1977.11月号 日本語の起源を追って 十一 インド・イラニアン諸語、シナ・タイ諸語と日本語 安本美典・本多正久/共著
 1977.12月号 日本語の起源を追って 十二 新しいモデルの提出 安本美典・本多正久/共著
 1978.5月号  文章上達の心理学
 1979.2月号  〔読者のページ〕「『日本語誕生』について」に答える
 1979.4月号  広告文のことば
 1979.4月号  〔読者のページ〕再び「『日本語誕生』について」に答える
 1979.10月号 〔ことばの書架〕小沢重男 著『日本語の起源を探る』講談社、吉田金彦 著『古代日本語をさぐる』角川書店(安本・書評)
 1979.12月号 〔読者のページ〕シフト検定法への疑問に答える
 1980.5月号  〔ことばの書架〕ジーン・エイチソン 著、田中春美・田中孝子 訳『入門言語学』金星堂(安本・書評)
 1980.6月号  言語と私(創刊100号記念エッセイ)
 1980.12月号 計量言語学の旅
 1982.1月号  〔読者のページ〕 下宮忠雄氏の「日本言語学会第83回大会」報告への疑問
 1982.4月号  下宮忠雄氏の「理解」への疑問
 1983.6月号  〔ことばの書架〕草薙裕 著『コンピュータ言語学入門』大修館書店(安本・書評)
 1987.別冊  日本語の古層を統計的にさぐる
 1988.2月号  縄文語を追う
 1989.8月号  文芸作品の作者を推定する
 1990.2月号  弥生時代の話し言葉−「倭人は何を語ったか」
 1990.7月号  新刊紹介 中本正智 著『日本列島言語史の研究』大修館書店(安本・書評)
 1994.2月号  文体を決める三つの因子
 1998.7月号  上代特殊仮名遣いと後置定冠詞
 2001.2月号  スワデシュ=言語年代学の提唱者(言語の20世紀101人)
 2001.4月号  「あげる」「くれる」表現と「甘えの構造」


  挿図:月刊『言語』1994年2月号(23-2・大修館書店)の表紙
      特集の寄稿論文の一番目に「文体を決める三つの因子」(安本美典)がある。


  今回も安本作品を多く掲載できないので、私の好みで1作品を選ぶ。
  1989年8月号の〔文芸作品の作者を推定する〕を掲載する。
  文章の長さや用語の頻度を統計的に調べ、その作品が伝えられる作者の作品かを推定できるという。
  フリードマンのシェークスピア作品研究や安本先生の源氏物語の宇治十帖研究などが紹介されている。
  とても、興味深い。

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