「邪馬台国の会」の会員である村山智浩氏よりご自身の著作をいただいた。
村山さんは、会の千葉支部の講演会での常連であり、顔なじみである。その上、全国邪馬台国連絡協議会と日本歴史学会にも所属されている。
村山さんが邪馬台国に関して研究されていることは知っていたが、研究成果をまとめられて出版とは知らなかった。
出版は、素晴らしい慶事であり、お祝いを申し上げる。おめでとうございます!
そして、当館への寄贈に感謝し、お礼を申し上げる。ありがとうございます。
書名のコペテンとは「コペルニクス的転回の考え方で「魏志倭人伝」の通説に切り込んだという村山さんの意欲を表現している。卑弥呼の遣使の「二、三年問題」では、倭人伝にある漢数字は70ヶ所以上あるのにここ以外は何ら問題ないという。
こんなケースで、誤写を根拠に挙げるのはおかしいと氏はいう。
初めて目にする鋭い指摘である。
「短里」という仮想単位は重罪という。倭人伝に侏儒国の記述がある。人の背丈は三、四尺とある。
短里を中国尺斤法に基づき計算すると、身長は約20pとなるという。
中国正史がそんなデタラメを残しているんですか?と本の帯にある。
侏儒人の身長を取り上げた人は見たことがない。
村山さんが違和感を覚えるのは、「魏志倭人伝」の不可解な行程についてである。”私が梯儁や張政らの魏人を案内するなら、基本、最後の最後まで陸路は使わない。”
末盧国で上陸した魏の一行は、伊都国の港で検閲を行なう。
なぜ、必ず伊都の港へ行くならば、直行しないのだろう。
その後、邪馬台国へは水行・陸行をする。
最後の陸路は必然としても、途中の九州をなぜ陸路で行かなければならないのでしょうか?
村山さんは、これを不可解という。
いままで、漫然と見過ごしていたことを一つ一つ洗い出し、新しい視点から考察を加える。本書には目からウロコの解説が満載されている。
邪馬台国の迷路に迷い込んだ人には、必読の本ではないだろうか。
ご興味のある方は、どうぞご覧ください。
挿図:村山智浩『コペテン!邪馬台国〜論理と常識の果てに』(2018・文芸社)の表紙、帯付き
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