館長だより 第1号
館長だより 第1号

館長のつぶやき(1)

2012/04/01

   ☆ 熱望! 邪馬台国図書館

 邪馬台国研究は文化である。

 邪馬台国に関する研究は、江戸時代から多くの学者、知識人たちが研鑽を積み重ね、現在に至っている。

 それなのに残念ながら、研究活動の文献、史料が一堂に保存され、誰もが利用できるところがない。

 邪馬台国研究に関する専門の図書館――邪馬台国図書館 があったらどれほど有用であろうか。

 現在、邪馬台国問題を直接取り扱った本は、数千冊を越えると思われる。

 ちなみにインターネットの「アマゾン」で邪馬台国関連書籍を検索すると、「邪馬台国」で4100件、「卑弥呼」で1700件、「倭人伝」で1100件出てくる(2011/1/21現在)。

 雑誌・新聞を含めるとどれだけの量になるか想像もつかないほどである。

 これだけ多くの関連書籍が刊行されていると大学の研究者でも、そのすべてを参考文献として購入し、自身の研究に役立てることは無理である。

 ましてや個人で邪馬台国を研究、愛好している者にとっては、そのほとんどは目にすることすらできない。

 邪馬台国図書館が設立されれば、邪馬台国研究は飛躍的に進展するであろう。

 なぜならば、文献探しにとられる多くの時間や労力、費用が不要になり、研究に専念できることになるからである。

 公共の図書館のなかには比較的多くの邪馬台国関連の書籍を蔵書しているところもみうけられる。

 しかしそれでも日々刊行される膨大な量から見れば、蔵書量はわずかでしかない。

 その上、利用の少ない旧書籍は書庫の関係からか、一定期間を過ぎると破棄される場合が少なくない。

 邪馬台国図書館の目的の一つは、研究書籍の永久保存である。

 現在多くの場合、在野の研究者が亡くなられると、その蔵書はゴミになるか、あちこちに散らばり、膨大な出版物の中に埋没し、再び研究者の目に触れる機会は偶然を待つほかはなくなる。

 せっかく集められた蔵書の散逸を防ぎ、集められた方の労を生かす受け皿としても邪馬台国図書館は必要である。

 評論家・大宅荘一は、日々捨てられていく雑誌の社会的、文化的価値に気づき、一人蒐集・保存に努力をした。

 その遺志が受け継がれ、いま大宅荘一文庫がある。国立国会図書館にもない雑誌が多く保存されている。

 電通は、元社長の吉田秀雄の功労を記念して、広告専門の図書館を設立して一般に公開している。そこには広告に関する大学生の卒論まで保存されている。

 日本交通公社は旅行に関する旅の図書館を運営している。航空会社の機内誌まで所蔵されている。

 明治大学はOBで漫画評論家の米沢嘉博の蔵書をもとに東京国際マンガ図書館の設立を計画している。

 世に専門図書館は珍しくないのである。あるテーマに限定した民間の図書館は、現に多く存在している。

 邪馬台国図書館の活動は、希望者のすべてが利用できる開かれた図書館でなくてはならない。

 書籍の閲覧、貸出し、コピー等、あらゆる便宜を図るべきであると思う。

   閲 覧:来館者が手にとって見ることの出来る開架式を原則とし、一部、閉架式を併用。

   貸出し:閉架本を除き、貸し出しを可能にする。ネットによる便宜も図る。

   コピー:コピー機を設置し、申し込みによりコピーを可能にする。ネットによる希望にも応じる。(有料)

   機関誌:邪馬台国図書館に関する情報提供を目的とする。新規入荷書籍の案内、新刊本の紹介、等々。

   販 売:出版社と契約し、割引にて新刊本の販売。自費出版などの個人の研究本の販売。寄贈本が蔵書と重複する場合、許可を得て安価にて販売。

 研究者にとって有意なことはすべて活動対象として検討する。ゆくゆくは、研究者の発表の場の拠点となるようにもしたい。

 専門図書館の設立にはさほどの制約はない。

 「図書館法」が適用されるのは地方公共団体または公益法人等が設置する公共図書館だけである。

 学校や企業、個人等が設置する専門図書館はこの法律の対象外である。

 専門図書館を運営する組織として多いのが財団法人である。大宅荘一文庫も広告図書館もこれである。

 財団法人よりも簡易な方法として、NPO法人がある。

 NPO法人は10人以上の社員が必要で、利益を最優先事項にしない活動を目的とすれば、届出のみで設立は可能である。

 より簡易な方法としては、法人格を持たない任意団体の設立である。有志が集まり会則(規約)決めればいい。当日より活動は可能である。

 邪馬台国図書館の設立には、その必要を熱望し、設立のためのアイデアを考え、行動を起こし、継続することが何よりも大事である。

 邪馬台国図書館の設立は最初から完成された形態を望むのではなく、できることからまず第一歩を踏み出すことが肝要である。

 数人の賛同者による準備委員会等の集まりとしてでもスタートし、賛同者の数を増やし、次第に組織を大きくすることが現実的な方法と思われる。

 収蔵本は全国の古代研究の集まりに呼びかけ寄贈を募る。

 将来の寄贈の約束も確保すべきである。寄贈者の名前は銘記し、永久にこれを表することが好意に報いる方法と思われる。

 出版社にも呼びかけ、寄贈をお願いする。

 お礼として邪馬台国図書館での販売の許可および代行、ホームページでの新刊紹介等を検討すべきである。

 運営は、専任常勤社員以外はボランティアを募る。

 運営費用は、寄付、友の会会費、入館料、コピー代、重複書籍の販売、新刊本の販売手数料等を検討する。

 NPO任意団体、或はNPO法人は非営利組織ではあるが収益をあげることは制限されていない。

 あらゆるチャンスを生かし、運営費、人件費および必要経費を捻出する手立てを考えなければならない。

 最大の難問は建物および収蔵庫である。家賃、設備費、光熱費等も常に必要になる。

 市や区、あるいは個人所有の遊休施設等の利用ができればありがたい。

 地域の活性化や地震等の被災地復興の拠点と位置づけることも検討に値する。

 そればかりに限定すると話が先へ進まない。ネットによる邪馬台国図書館の立ち上げも一つの方法と思える。

 そこで、この「邪馬台国図書館」をとりあえず開設した次第である。

 解決しなければならない問題は多いが決して不可能ではない。ひとつひとつ解決していけば、必ず達成できるはずである。

 皆さんのご協力を仰ぎ、共に知恵を絞り、一緒に行動し、邪馬台国図書館の設立が達成されるよう強く強く熱望するしだいである。

                H24.4.1    館長 笛木 亮三


トップへ

館長だより HP表紙 進 む
inserted by FC2 system