先日行なわれた全国邪馬台国連絡協議会の会員研究発表会の講演を聞きに行った。そのとき、牧村健志氏の「春秋二倍暦仮説による日本書紀の復元」に感銘をうけた。
牧村氏はいう。神武天皇127歳、崇神天皇120歳などと、記紀にある天皇の年齢はあまりにも長命である。
これを、『魏略』にある「倭人は春耕秋収を計って年期となす。」を基に二倍暦を説く研究者が少なからずいる。
ただし、多くは唱えるだけで、その研究、検証をしていない。
そこで牧村氏は、実際に年表を作り、考古学・中国史書・金石文などと対比し、日本書紀の成立過程を考察する。
二倍暦存在の証拠をつかむ。
結果、神武東征、纏向三代、などが無理なく矛盾なく説明できるようなるという。
実に痛快な考証である。
日本書紀における二倍暦から通常暦へ変換時期まで突き止めている。
氏の作成する「新紀年表」では、日本書紀にある無意味な空白期間がなくなる。
講演当日の資料には、自著『よみがえる神武天皇』をベースにしたとある。
そこで、私は厚かましくも一面識もない牧村氏にお願いをした。
”あなたの本を邪馬台国図書館に寄贈してください。”
牧村氏は持参していた一冊を、快く寄贈してくれた。感謝に堪えない。
『よみがえる神武天皇』には副題がある。日本書紀の暗号を読み解く である。
帯には、キャッチコピーがある。
神武天皇は、紀元前37年に即位した実在の天皇だった!
九州の邪馬台国は277年に大和の国に吸収された!
古代史の定説に気鋭の著者が大胆に挑戦目次をみると、土器と墓と卑弥呼、神武東征はサクセスストーリー、土木灌漑と神道で日本統一などがある。
ちょっと他の古代史の本にない表現が並ぶ。
著者のユニークな視点、切り口が感じられる。
著作はPHP研究所から2016年に発行されている。
400ページという大著に著者の思いがあふれる労作である。
巻末の「新紀年表」も必見の価値がある。
ご興味のある方は書店で手にとって、ぜひご覧ください。
挿図:牧村健志『よみがえる神武天皇』(2016・PHP研究所)の表紙(帯付)
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