偶然、金田弘之さんという方が古代史の本を出版されたことを知った。『邪馬台国と卑弥呼』(2016・山武出版会)である。
金田さんの著作は、私の「邪馬台国図書館」に三冊所蔵されている。
『軍事からみた邪馬台の軌跡』(1999・国書刊行会)、『私の邪馬台国論Vol.2』(共著・2004・梓書院)、
『私の邪馬台国論Vol.3 』(共著・2004・梓書院)である。三冊とも、東京・神保町の古書店でたまたま見つけて購入したものである。
在野の研究者の方の本の情報は入りにくいし、概して入手もむずかしい。
私は先方の迷惑も顧みず、金田さんに直接連絡を取った。
「邪馬台国図書館」の趣旨を語り、ご自身の著作の寄贈をお願いした。
金田さんは、私の願いに快諾され、さっそく著作を送ってくださった。
しかもその時に、金田さんの著作『房総、そして玉浦(武射)をつくった一族』と『玉浦をつくった一族』を一緒にいただいた。
ありがたい。こころよりお礼を申しあげる。
金田さんはいう。(要約)「邪馬台国問題」の解明には、倭人伝をマクロ(背景・全体の柱)でとらえて、ミクロに入り解釈が大切。
そして、独特の視点から倭人伝の柱が魏の将軍・司馬懿の戦略にあると捉える。
軍事戦略の視点にたち、四つの切り口から諸文献を読み解くことで邪馬台国の実像と事件の真相解明に迫る。
本の副題にも「魏将軍・司馬懿の戦略と謀略からみた」とある。
今までにない軍事戦略という視点から倭人伝を読み解くとはとても興味深い。
金田さんの略歴を見ると、防衛大学卒業、元・自衛官、専門はレーダ技術・通信・情報解析とある。
なるほど、納得。金田さんならではの独自の視点である。
四つの切り口が、目次にある。
第1章:司馬懿(戦略家・謀略家)の目からみた邪馬台国
第2章:魏志倭人伝が記す邪馬台国
第3章:女王国の争乱(倭人伝と古事記)
第4章:卑弥呼「以死」の真相
景初二、三年ころ、司馬懿は三つの問題を抱えていた。
一つ目が、魏と呉の覇権争い
二つ目が、司馬懿と曹爽の主導権争い
三つ目が、女王国と狗奴国の争乱解決
魏将軍・司馬懿がどのような戦略と謀略をたて、行動したか。
本著で、その歴史(ヒストリー)が、それぞれ根拠をあげて、物語(ストーリー)になっている。
『房総、そして玉浦(武射)をつくった一族』と『玉浦をつくった一族』は同じテーマの本である。弥生時代終末から古墳時代初頭にかけて、阿波(徳島)から黒潮に乗ってインベ(斎部、忌部)氏が安房(千葉)に渡ってきた。
インベ氏による安房そして玉浦、武射国建設への歴史を再現した著作である。
金田さんの著作はいずれも緻密な検証があり、独自の視点を持っている。なかなかの労作と感じ入る次第である。
寄贈いただいた金田さんに、改めてお礼申しあげる。
写真上 :『邪馬台国と卑弥呼』(2016・山武出版会)の表紙写真下左:『房総、そして玉浦(武射)をつくった一族』(2013・崙書房出版)の表紙
写真下右:『玉浦をつくった一族』(2015・風土記編纂の会)の表紙
『邪馬台国と卑弥呼』にご興味のある方は、下記へご連絡ください。
著書は送料込み ¥1000です。
山武出版会(〒289-1326 千葉県山武市成東3408−5 0475−82−5030)
|