館長だより 第161号
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館長のつぶやき(43)

2021/04/04

   ☆ 寄贈本 『三国志倭人傳「邪馬壹国女王都」を計測する』

 全国邪馬台国連絡協議会の本部事務所に、福島県いわき市の橋本吉治(よしはる)さんから本が送られてきた。

 橋本さんの著作『三国志倭人傳「邪馬壹国女王都」を計測する』である。

 この本が幾人かの手を経て、最終到着地の邪馬台国図書館に届いた。

 本の中に橋本さんの熱い思いのメモが入っていた。

 「今度 微志にまかせて一書を作りましたので 御受納下さい。」橋本吉治

 当館に寄贈とさせていただいた。こころより感謝申し上げる。


 橋本さんのプロフィールをみると、日本工業大学建築学科を卒業して、一級建築士となり、設計事務所を経営とある。

 一級建築士という設計や測量に造詣の深いプロの方が、邪馬台国の里程問題に取り組まれるとは大いに期待が膨らむ。

 著書の副題に、周髀算経の影寸千里を検証 方角も距離も正しかった海島算経を図解 とある。

 測量の専門家が倭人伝のなかの行程問題にテーマを絞り、一里が何メートルになるか検証されていることは素晴らしい。

 まず橋本さんは、「自女王国以北其戸数道理里可得略載」と「其余傍国絶不可得詳」の記述を前提に考えを進める。

 それに関連して、「郡から狗奴韓国まで七千余里」と「郡から女王の都まで一万二千余里」に注目する。

 そしてこれらの検証に、『周髀算経』の「影寸千里」を用いる。

 洛陽の場合、九州中部の場合、九州北部の場合、緯度36度の場合を調べ、千里が何キロか算出する。

 測定方法の根拠として『海島算経』の解説をする。

 邪馬壹国の方位と里数を確認して、郡から女王国までの全行程を図解する。

 その上、末盧国ー伊都国、伊都国ー奴国、奴国ー不弥国、不弥国ー女王国の都の各国間の詳細な図解まで行なっている。

 橋下さんは結論を出す。

   〈末盧国からも、不弥国からも三国志の「邪馬壹国」の「女王之所都」は高千穂になります。
    距離も方位も岩戸神社なら誤差の範疇です。
    「邪馬壹国」が高千穂というより、「女王之都」が高千穂なのです。
    高千穂については全く予備知識がありませんでした。
    機械的にあるいは測量的に進めていった結果、自然に辿り着いた所が、高千穂だったのです。(中略)
    卑弥呼は日神子あるいは日の巫女であり、日の神である天照と同一人物に見えます。(中略)
    もし、そうであるなら「筑紫の日向の高千穂」の解釈もそのままで正しいとなり、
    幣立神社の由緒因縁などの伝承も正しいかもしれません。(中略)
    邪馬壹が後に場所を移して邪馬台になり後に大和になったとしても、
    少なくとも三国志に記された邪馬壹国女王の都は高千穂であることは間違いありません。〉

 私はこの欄では寄贈本を紹介するだけで、いつも結論の正否には触れていない。

 しかし、この著作は長里説の研究者も短理説の研究者も共に自身の説の検証に参考になる力作と思う。

 この本は市販されていないようなので、ご興味のある方は著者・橋本吉治さんに連絡を取られることがいいかもしれない。

 著作にメールアドレスがある。  mail  yss@themis.ocn.ne.jp


  挿図:橋本吉治『三国志倭人傳「邪馬壹国女王都」を計測する』(2020)の表紙


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