全邪馬連や東アジアの古代文化を考える会の会員である槌田鉄男氏が著作を出版された。『九州の邪馬台国 VS 纏向の騎馬民族』(2019・文芸社)である。
邪馬台国の会の会長の紹介で、その著作を当図書館に寄贈していただいた。
心よりお礼を申し上げる。
九州の邪馬台国は特に珍しくはないが、纏向の騎馬民族とは、意表を突く表現である。本の帯に解説がある。
〈九州を襲った騎馬民族を卑弥呼が撃退、
彼らは東に逃れ奈良の纏向に入った――
隠された魏志倭人伝の謎を解き明かし、
300年続いた邪馬台国論争を決着へと導く。〉槌田氏の新しい視点から邪馬台国の謎が解明されるらしい。
〈邪馬台国、対馬国、投馬国、……なぜ多くの馬の字が使われたのか
それまで日本になかった殉葬が、なぜ卑弥呼の死でなされたのか
卑弥呼の死後、男王が立つと反乱が起き千人もの死者が出た
名前はふせられたこの男王は果たして誰なのか〉今までにない、いくつかの切り口が示されている。
〈見過ごされてきた魏志倭人伝のいくつもの謎、
これらの謎は新しい騎馬民族説によって全て解明されます。〉邪馬台国と騎馬民族がどう結びつくのか、興味深い展開である。
槌田氏は、全邪馬連のHPにある【私の「邪馬台国論」「古代史論」】で自説論文を平成27年(2015)に発表している。『邪馬台国と大和朝廷の誕生秘話「騎馬民族説の復活」』である。
その後、改良・深化を重ね、平成29年(2017)に改訂版を掲載している。
『騎馬民族説の復活(改4)「扶余族に征服された邪馬臺国』である。
これらの結実が、今回の新著と思われる。
どんな展開が見られるか、楽しみである。
挿図:『九州の邪馬台国 VS 纏向の騎馬民族』(2019・文芸社)の帯付き表紙。
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