前号で間に合わなかった資料が見つかり、そのうえ、ネットで注文していた本が届いた。追加資料4冊を紹介する。
22の榎一雄『邪馬台国』(写真17)は、本棚を片っ端から探して、奥に隠れていたのをやっとみつけた。邪馬台国への行程を放射式に解した元祖の本である。
学生の頃、榎先生の講演を聴いて、感激したことを思い出す。
よくこういうことを思いつくものだと感心したことを覚えている。
でも、放射式が正しいとしたら、なぜ、さして重要でない不弥国へ道のりをわざわざ書き加えたのだろう。
そこがどうもしっくりしない。
21 石母田正の「日本の古代国家」(写真16)と25 森浩一の「日本の古代文化ー古墳文化の成立と発展の諸問題」(写真18)は注文して、一週間もしないで、届いた。安くて、速くて、ネット販売の充実ぶりにはおどろきである。
25の森論文は『古代史講座 第3』(学生社・1962)に収録されている。
三角縁神獣鏡の国産説を最初に唱えた論文なので、前々から読みたいと思っていたので、手に入ってうれしい。
30 「吉野ヶ里」本文編(写真19)は、吉野ヶ里遺跡発掘調査の公式報告書である。
本文編・図版編の2冊セットの大型本である。
1994年発行のこの本を、なぜか、安月給の私がすぐに書店に注文をして購入している。
きっと、古代史ブームにうかれてしまったんだろう。今では考えられない。
日本考古学史上最大の発掘、邪馬台国研究の基本資料、限定出版、……
当時のパンフレットに宣伝文句が踊っている。
貴重な本であることはわかるが、重いし、汚せないし、ほとんど見てない。
宝の持ちぐされである。
まあ、これに懲りずに、これからもいろいろ邪馬台国関連の本を集めていこう、とは思っている。
写真16:石母田正『日本の古代国家』(岩波書店・1971)の箱表(21)写真17:榎 一雄『邪馬台国』(至文堂・1960)の表紙(22)
写真18:石母田正・他 編『古代史講座 3 古代文明の形成』(学生社・1962)の箱表(25)
写真19:佐賀県教育委員会『吉野ヶ里 本文編』(佐賀県教育委員会・1994)の箱表(30)
追加に追記(12.7.15 記)19の直木孝次郎「国家の発生」がみつかった。
『岩波講座 日本歴史 1』(岩波書店・1962)(写真20)に収録されている。
論文について≪邪馬台国と大和政権との質的な相違を指摘し、両者を別系統の政権と考えている。≫と解説がある。
これでとりあえず、所蔵しているすべてが揃った。
以後は、未所蔵本をどこまで集められるかである。
あせらず、たゆまず、やっていくつもりである。
写真20:石母田正・他『岩波講座 日本歴史 1』(岩波書店・1962)の箱表(19)
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