館長だより 第124号
館長だより 第124号

安本作品 あれこれ(25)

2018/10/28

   ☆『創造と性格』の裏表紙の写真

 今年、安本美典先生が主宰する「邪馬台国の会」が創立35周年を迎える。

 そこで、企画の一つに安本先生の著作一覧の作成が提案される。

 安本先生の著作一覧には以前先生が作成された著作一覧がある。

 『封印された邪馬台国』(1999・PHP研究所)に掲載されている1998年までの著作一覧である。

 今回、先生から頂いた一覧には以後の出版本が追加され、2018年までが掲載されている。

 それとは別に、会のHPに掲載の「安本先生著書一覧 」(末永時和理事作成)がある。

 両者は、発行順や出版社名などが微妙に異なる。

 「邪馬台国図書館」では、先生の著作を95冊所蔵している。(2018.10現在)

 古代史関係が81冊、古代史以外が14冊である。

 私は以前から、「館長だより」で先生の作品を少しづつ紹介している。

 そんな訳で、二つの一覧表を基に、私は著作一覧作成のための確認作業を始める。

 まず、掲載されている著作が何年何月、どこから出版されているかを確認する。

 都立、県立の数件の図書館の蔵書目録、アマゾン等のネット古書店の販売目録などで先生の著作を探す。

 その作業の途中で、先生著作の『創造と性格』が安価で販売されているのを見つける。


 ここから、話は逸れるというか、表題のテーマに話は移る。

 安本作品の所蔵は、主に古代史本にしているが、一覧表を手掛けている最中なのでこれも何かの縁と思い、購入を申し込む。

 届いた本を見て、ビックリ!

 裏表紙に、ページ半分の大きさで、若き安本先生の写真がある。

 この本のために撮影された写真ならば、1969年(昭和44)の安本美典先生である。

 歳は、35歳となる。

 この写真の2年前に古代史関係では初めての『邪馬台国への道』が出版されている。

 心理学、統計学、言語学、そして、日本古代史と多方面に研究が発展深化し始めている時期である。

 先生は、カメラから3/4正面と呼ばれる斜めの位置に立ち、にこやかに微笑んでいる。

 ダビンチのモナ・リザが、この3/4正面の角度である。

 ネクタイを締め、背広姿の、知的才能のあふれる好男子が写し出されている。

 この若き研究者が、邪馬台国問題の一大潮流を築き上げるとは、この時点で、誰が想像できたであろうか。

 先生の著作一覧に見えるその足跡をたどると感慨深いものがある。

 この一枚の写真は、それほど貴重なもののように、私には思えてくる。


 つぎに、『創造と性格』の内容について触れる。

 本書は分類でいえば、心理学関係である。

 目次に、才能の開発、《考える》とはなにか、創造への挑戦などがある。

 学業成績は優秀でも、実際の仕事ではその才能を発揮できない人がいる。

 それは、なぜか。そこに、自分の思考、行動に創造性が必要と著者はいう。

 「創造性を発揮する基礎は、まず自分の中にうもれている才能に気づき、
 それを発掘してくれる種々のチャンスに積極的に出むいていくことから始まる。」

 と、裏表紙に解説がある。

 そして、悩める現代人に、提言する。

 「現代はすべての職業人に”創造性”を要求する。あなたの創造力は眠っていないか!
 これはかくれたあなたの才能をめざめさせる本である。」(帯文)

 もし、あなたが研究に行き詰まっていたら、この本が、問題解決の扉を開ける手助けになるかもしれない。

 なお、私の「安本先生著書一覧」の探索は今も続いている。


  挿図上:『創造と性格』(1969・毎日新聞社)の表紙
  挿図下:『創造と性格』(1969・毎日新聞社)の裏表紙


トップへ

戻 る 館長だより HP表紙 進 む
inserted by FC2 system